矯正治療と歯根吸収について知っておきたいこと

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矯正治療と歯根吸収について知っておきたいこと

矯正治療は、歯並びや噛み合わせを整え、健康的な口腔環境を作るために行われる治療です。しかし、矯正治療に伴うリスクのひとつとして「歯根吸収」があります。これは、歯の根の一部が短くなる現象で、矯正医としてももっとも怖いものです。しかし適切な管理のもとで治療を進めれば、深刻な問題を引き起こすことはほとんどありません。

歯根吸収とは?

歯根吸収とは、歯の根の表面が吸収され、短くなる現象です。矯正治療中に歯が動く際、周囲の骨が再構築される過程で、まれに歯根の先端部分が吸収されることがあります。

歯根吸収の原因

矯正治療における歯根吸収の主な原因は以下の通りです:
✅ 過度な矯正力:強い力をかけすぎると、歯根が吸収されやすくなります。
✅ 治療期間の長期化:長期間にわたり矯正装置を使用すると、歯根に負担がかかることがあります。
✅ 歯の移動距離が大きい:歯を大きく移動させる必要がある場合、特に歯根にかかる負担が増し、歯根吸収のリスクが高まります。
✅ 再治療:一度矯正治療を受けた後、再治療を行う場合、すでに歯根にダメージが蓄積されていることがあり、吸収のリスクが高まります。
✅ 患者さんの協力度の低さ:顎間ゴムなどのその他の付加装置を指示通り使用しないと、計画通りに歯が動かず、本来必要のない歯の移動が生じ、それが歯根吸収を引き起こす原因となることがあります。
✅ 歯の個体差:遺伝的要因や歯の形によって、歯根吸収のリスクが異なります。
✅ 外傷歴:過去に歯に外傷を受けたことがある場合、吸収しやすいことがあります。

歯根吸収が起きた場合の対応

万が一、歯根吸収が発生してしまった場合でも、それが即座に歯の脱落につながるわけではありません。例えば、歯根の長さが半分程度になったとしても、十分に骨に支えられている限り、多くの場合は機能を維持することが可能です。重要なのは、吸収の進行を適切に管理し、無理のない治療計画に修正することです。

かつて日本矯正歯科学会の学術大会における招待講演で海外歯科医師の演者さんがお話をされた内容が、歯根吸収を理由に歯を抜歯し、インプラントに置き換える治療を行ったものでした。その内容が非難される対象となり、日本矯正歯科学会の見解として、矯正治療による歯根吸収が見られるからといって、すぐに歯を失うわけではないことを強調し、安易な抜歯やインプラント治療の選択を避けるべきであるとの結論で講演は幕を閉じました。このように、歯根吸収が起きた場合でも、適切な管理を行えば、多くのケースで歯を維持することが可能です。

歯根吸収の予防と対策

矯正治療中に歯根吸収を最小限に抑えるためには、以下の点が重要です:
🔹 適切な力での歯の移動:矯正医が歯の動きを慎重にコントロールすることで、リスクを軽減できます。
🔹 定期的なレントゲン検査:治療中に歯根の状態を確認し、異常があれば早めに対応します。
🔹 治療計画の調整:歯の移動距離が大きい場合や長期間の治療が必要な場合には、適切なペースで進めることが重要です。
🔹 再治療の慎重な検討:再治療を行う場合、事前に歯根の状態をしっかり評価し、必要以上の負担がかからないように治療計画を立てることが大切です。
🔹 患者さんの協力度の向上:顎間ゴムやその他の付加装置を適切に使用することで、治療計画通りに歯が動き、不要な歯の動きによる歯根吸収を防ぐことができます。

大切なのは、万が一のときの対応

矯正専門医としては、重篤な歯根吸収を起こさないことが最も理想的です。しかし、歯根吸収が起きた場合でも、適切な対応を行うことで歯の健康を守ることができます。早期に発見し、治療計画を見直すことで、問題を最小限に抑えることが可能です。矯正治療を受ける際は、定期的な検診を怠らず、専門医と十分に相談しながら進めていくことが大切です。
神奈川県秦野市の高橋矯正歯科医院では術前はもちろん、術中の状況も確認しながら矯正治療を進めていきますのでご安心ください。

神奈川県秦野の矯正専門開業医院

院長

高橋 滋樹
院長紹介ページはこちら
略歴
東京医科歯科大学顎顔面矯正講座大学院 修了
公益社団法人日本矯正歯科学会 理事
資格
日本矯正歯科学会 認定医・臨床指導医

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